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　実に、堂々としたデビュー戦だった。

　法政大学から今季仙台に加入した永戸勝也は、2017年の明治安田生命J1リーグ開幕戦が、プロとして迎える最初の公式戦となった。

　試合二日前の時点で「ちょっと緊張しているかもしれない」と渡邉監督は気遣ったが、当日になれば問題はなかった。指揮官は細かい指示を与えず「とにかく思い切ってやれ」と言って送り出したという。

　そう、思い切りのよいプレーが、永戸の真骨頂だ。左サイドの下がり目の位置からスタートし、積極果敢に相手陣内に攻めこむ。ゴール近くまで進出したら、左足から繰り出す多彩なクロスで決定機を演出する。山なりのボールを上げることもあれば、グラウンダーで中央に走りこむ味方への足元にボールを転がすこともある。

　開幕前のキャンプでも、永戸は溌剌としたプレーを見せていた。今季から採用する3-4-3の左サイドで躍動。同じく新加入の中野嘉大らと競い合い、永戸ならではのプレーを見せながら「試合ごとにできることが増えていった」と、自信を深めていた。

　そして迎えたJ1第1節・札幌戦で、永戸は立ち上がりから左サイドを駆け抜けた。前半の時点でシュートチャンスを迎え、ボールが左サイドのタッチラインを割れば、もうひとつの特技であるロングスローを見せた。ハーフタイムに相手が守備を修正して永戸の左足を警戒したと見れば、右足で強烈なミドルシュートを打って相手の対策の上を行った。

　「プレーしている最中もすごく楽しく、自分で『ゲームをやれているな』という感覚がありました」と、永戸はデビュー戦を振り返った。上々の働きにも浮かれず「自己採点は60、70点くらい」と、上を見る。これから勢いに乗ることも、壁に当たることもあるかもしれないが、成長は続く。彼のプロ生活は、始まったばかりだ。