2017 明治安田J1 第15節 サガン鳥栖
お疲れさまでした。まずは遠い仙台から大勢のサポーターが駆けつけてくれました。あとは、九州での開催ということで、我々のキャンプ地である宮崎県延岡市、それから宮崎市、それから鹿児島県のさつま町からも関係者の方々が来て、我々の背中を押してくれたことに、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
ゲームについてですけれども、前半の立ち上がりに我々が割とシンプルに押しこむことができて、いくつかシュートチャンスを作り出せたというようなところ、そこからもう少し鳥栖さんがプレッシャーを速く来るのではないかという予想はしていたのですけれども、ある程度ボールを動かしながら相手陣に押しこむことはできたのかな、という気はしています。
前半は粘り強く(失点)ゼロで推移していこうというような話もしていたので、もしかしたら選手もあまりリスクを冒さずに攻撃をやり直したり、長いボールを入れたりという判断をしたのは、間違いではなかったと思います。
ただし、後半の早々にビハインドを負ってから、我々が前に出ていかなければいけない状況になって、ただそれでもしっかりと我々は意図的に相手を崩して、フィニッシュに行けたシーンというものを今日は数多く作り出せたと思います。もしかしたら、シーズンのはじめの頃だと、今日のような鳥栖さん相手には何もできずに終わってしまったのかなという感じはしています。もちろん、作り出したチャンスを見れば、勝点3も取りたかったですし、最後のダン(シュミット)のビッグセーブがなければ勝点ゼロで終わっていたかもしれませんし、それもまた勝負のあやなのですけれども、確実にチームの成長というものは、プレーの質や中身というもので、今は上達しているということはしっかり示せたと思います。
ただ、アウェイの勝点1を半歩前進ととらえることと、あるいはもっとできたんじゃないかと両方を振り返りながら、また天皇杯という新しい大会が始まりますから、また次に向かってパワーを出して進んでいきたいと思います。
■シュミット選手の今日のプレーの評価をお願いします。
ダンと常日頃喋っていることは、「キーパーで勝点3を取れるぞ」というような話はしています。実際に、ホームの新潟戦ですか、我々が2-1と逆転した後に、彼のビッグセーブで勝点3をたぐり寄せましたし、「ようやく勝点3を持ってきたな」という話はあの後にもしました。でも本人も「まだまだ」と言っていましたし、今日のゲームに関しても、彼のスーパーセーブと安定感がなければ、勝点1ももしかしたら取れなかったかもしれないという感じもしています。
本当に、ゲームを重ねるにつれて、確実に安定感というものが増してきていますし、そこでおそらく本人も自信を得ているでしょうし、非常に今は充実してゲームにのぞめているのではないかという感じはしています。ただし、本人も非常に、真面目な、真摯な人間なので、これで満足することなくやってくれると思いますし、ともすればキーパーで勝点を失うというゲームも当然ありますから、そういったところをひとつまた肝に命じながら、彼の活躍で勝点を取るんだというようなパフォーマンスをこれからも続けていってほしいと思います。
■得点した中野選手と梁選手の投入で、右サイドの攻撃が活性化されました。彼らを同時に投入した理由を教えてください。
今の我々の攻撃のかたちを取っている以上は、やはりサイドでどれくらい主導権を握れるか、あるいはサイドでどれくらい脅威になれるかというところがゲームのポイントで、公式戦でルヴァンカップを含めれば3連勝しているのは、そこで我々が間違いなく先手を取れているからだと思っています。
実際、今日のゲームに関して言うと、中央での崩しというものは非常にタイミングの良さだったり合わせ方だったりというものは、いいものは見られていたのですけれども、いかんせんサイドで崩しきれないものがどうしてもあったのです。それは鳥栖さんの個々人の1対1の強さというものも当然ありますし、そういったところでちょっと変化を加えたいなというものがありました。
左の(永戸)勝也は、彼のクロスやリスタートという武器がありますから、もう少し長く引っ張りたいという思いと、右のところはハチ(蜂須賀)も奥埜も決して悪かったという感じはしなかったのですけれども、脅威を与えているのかというとそういうふうには私の目には映らなかったので、セットで代えて、右サイドをもっと活性化させたいという狙いがありました。
実際に交代する前くらいから、3バックの大岩もそこに加勢しながら、右サイドの攻撃の厚みというものを確保できていましたから、その厚みのある攻撃をいかにゴールに結びつけるのかということを考えた時に、ヨシ(中野)と梁をセットで出して、流れをもう1度こちらにたぐり寄せようという狙いがありました。
リスタートのCKでヨシがゴールを取ったのにはちょっとびっくりしましたけれども、しかけの意識があったからこそ、彼にこぼれてきたのかなと思います。
■中野選手の評価をお願いします。
彼の特徴ということで、まず、“個”でしかけられる、あるいはヨシのところで時間を作れるというものがあって、それはキャンプからヨシがそういうことができるとはチームメートにもしっかり証明していました。本来であれば、もしかしたら左サイドにいた方が居心地がいいのかもしれませんが、今はいろいろな組み合わせの中で右に置いて、ただ右でもああやって相手を1回止める作業であったり、そこから出ていく作業であったり、というものは、今日も非常に効果的にやってくれたのかなと思います。
縦にしかけるだけではなくて、ああやって中に潜りながらフィニッシュに関わるというものも彼の良さですから、そういうものは、今日の25分の中でも出してくれたと思います。
ただし、それももちろんヨシだけが良かったからというわけではなくて、そこに顔を出した梁であったり、その奥のナオ(石原)だったり、あるいはボランチの(富田)晋伍やタマ(三田)だったり、というサポートがあってこその輝きだと思うので、そういった個々の輝きを増せるように、また組織の中でも詰めていきながら、これからやっていければと思います。